申命記32-34 ; マルコ15:26-47

申命記

第32章

32:1「天よ、耳を傾けよ、わたしは語る、
地よ、わたしの口の言葉を聞け。
32:2わたしの教は雨のように降りそそぎ、
わたしの言葉は露のようにしたたるであろう。
若草の上に降る小雨のように、
青草の上にくだる夕立ちのように。
32:3わたしは主の名をのべよう、
われわれの神に栄光を帰せよ。
32:4主は岩であって、そのみわざは全く、
その道はみな正しい。
主は真実なる神であって、偽りなく、
義であって、正である。
32:5彼らは主にむかって悪を行い、
そのきずのゆえに、もはや主の子らではなく、
よこしまで、曲ったやからである。
32:6愚かな知恵のない民よ、
あなたがたはこのようにして主に報いるのか。
主はあなたを生み、あなたを造り、
あなたを堅く立てられたあなたの父ではないか。
32:7いにしえの日を覚え、
代々の年を思え。
あなたの父に問え、
彼はあなたに告げるであろう。
長老たちに問え、
彼らはあなたに語るであろう。
32:8いと高き者は人の子らを分け、
諸国民にその嗣業を与えられたとき、
イスラエルの子らの数に照して、
もろもろの民の境を定められた。
32:9主の分はその民であって、
ヤコブはその定められた嗣業である。
32:10主はこれを荒野の地で見いだし、
獣のほえる荒れ地で会い、
これを巡り囲んでいたわり、
目のひとみのように守られた。
32:11わしがその巣のひなを呼び起し、
その子の上に舞いかけり、
その羽をひろげて彼らをのせ、
そのつばさの上にこれを負うように、
32:12主はただひとりで彼を導かれて、
ほかの神々はあずからなかった。
32:13主は彼に地の高き所を乗り通らせ、
田畑の産物を食わせ、
岩の中から蜜を吸わせ、
堅い岩から油を吸わせ、
32:14牛の凝乳、羊の乳、
小羊と雄羊の脂肪、
バシャンの牛と雄やぎ、
小麦の良い物を食わせられた。
またあなたはぶどうのしるのあわ立つ酒を飲んだ。
32:15しかるにエシュルンは肥え太って、足でけった。
あなたは肥え太って、つややかになり、
自分を造った神を捨て、
救の岩を侮った。
32:16彼らはほかの神々に仕えて、主のねたみを起し、
憎むべきおこないをもって主の怒りをひき起した。
32:17彼らは神でもない悪霊に犠牲をささげた。
それは彼らがかつて知らなかった神々、
近ごろ出た新しい神々、
先祖たちの恐れることもしなかった者である。
32:18あなたは自分を生んだ岩を軽んじ、
自分を造った神を忘れた。
32:19主はこれを見、
そのむすこ、娘を怒ってそれを捨てられた。
32:20そして言われた、
『わたしはわたしの顔を彼らに隠そう。
わたしは彼らの終りがどうなるかを見よう。
彼らはそむき、もとるやから、
真実のない子らである。
32:21彼らは神でもない者をもって、
わたしにねたみを起させ、
偶像をもって、わたしを怒らせた。
それゆえ、わたしは民ともいえない者をもって、
彼らにねたみを起させ、
愚かな民をもって、彼らを怒らせるであろう。
32:22わたしの怒りによって、火は燃えいで、
陰府の深みにまで燃え行き、
地とその産物とを焼きつくし、
山々の基を燃やすであろう。
32:23わたしは彼らの上に災を積みかさね、
わたしの矢を彼らにむかって射つくすであろう。
32:24彼らは飢えて、やせ衰え、
熱病と悪い疫病によって滅びるであろう。
わたしは彼らを獣の歯にかからせ、
地に這うものの毒にあたらせるであろう。
32:25外にはつるぎ、内には恐れがあって、
若き男も若き女も、
乳のみ子も、しらがの人も滅びるであろう。
32:26わたしはまさに言おうとした、「彼らを遠く散らし、
彼らの事を人々が記憶しないようにしよう」。
32:27しかし、わたしは敵が誇るのを恐れる。
あだびとはまちがえて言うであろう、
「われわれの手が勝ちをえたのだ。
これはみな主がされたことではない」』。
32:28彼らは思慮の欠けた民、
そのうちには知識がない。
32:29もし、彼らに知恵があれば、これをさとり、
その身の終りをわきまえたであろうに。
32:30彼らの岩が彼らを売らず、
主が彼らをわたされなかったならば、
どうして、ひとりで千人を追い、
ふたりで万人を敗ることができたであろう。
32:31彼らの岩はわれらの岩に及ばない。
われらの敵もこれを認めている。
32:32彼らのぶどうの木は、
ソドムのぶどうの木から出たもの、
またゴモラの野から出たもの、
そのぶどうは毒ぶどう、そのふさは苦い。
32:33そのぶどう酒はへびの毒のよう、
まむしの恐ろしい毒のようである。
32:34これはわたしのもとにたくわえられ、
わたしの倉に封じ込められているではないか。
32:35彼らの足がすべるとき、
わたしはあだを返し、報いをするであろう。
彼らの災の日は近く、
彼らの破滅は、
すみやかに来るであろう。
32:36主はついにその民をさばき、
そのしもべらにあわれみを加えられるであろう。
これは彼らの力がうせ去り、
つながれた者もつながれない者も、
もはやいなくなったのを、主が見られるからである。
32:37そのとき主は言われるであろう、
『彼らの神々はどこにいるか、
彼らの頼みとした岩はどこにあるか。
32:38彼らの犠牲のあぶらを食い、
灌祭の酒を飲んだ者はどこにいるか。
立ちあがってあなたがたを助けさせよ、
あなたがたを守らせよ。
32:39今見よ、わたしこそは彼である。
わたしのほかに神はない。
わたしは殺し、また生かし、
傷つけ、またいやす。
わたしの手から救い出しうるものはない。
32:40わたしは天にむかい手をあげて誓う、
「わたしは永遠に生きる。
32:41わたしがきらめくつるぎをとぎ、
手にさばきを握るとき、
わたしは敵にあだを返し、
わたしを憎む者に報復するであろう。
32:42わたしの矢を血に酔わせ、
わたしのつるぎに肉を食わせるであろう。
殺された者と捕えられた者の血を飲ませ、
敵の長髪の頭の肉を食わせるであろう」』。
32:43国々の民よ、主の民のために喜び歌え。
主はそのしもべの血のために報復し、
その敵にあだを返し、
その民の地の汚れを清められるからである」。
32:44モーセとヌンの子ヨシュアは共に行って、この歌の言葉を、ことごとく民に読み聞かせた。32:45モーセはこの言葉を、ことごとくイスラエルのすべての人に告げ終って、32:46彼らに言った、「あなたがたはわたしが、きょう、あなたがたに命じるこのすべての言葉を心におさめ、子供たちにもこの律法のすべての言葉を守り行うことを命じなければならない。32:47この言葉はあなたがたにとって、むなしい言葉ではない。これはあなたがたのいのちである。この言葉により、あなたがたはヨルダンを渡って行って取る地で、長く命を保つことができるであろう」。
32:48この日、主はモーセに言われた、32:49「あなたはエリコに対するモアブの地にあるアバリム山すなわちネボ山に登り、わたしがイスラエルの人々に与えて獲させるカナンの地を見渡たせ。32:50あなたは登って行くその山で死に、あなたの民に連なるであろう。あなたの兄弟アロンがホル山で死んでその民に連なったようになるであろう。32:51これはあなたがたがチンの荒野にあるメリバテ・カデシの水のほとりで、イスラエルの人々のうちでわたしにそむき、イスラエルの人々のうちでわたしを聖なるものとして敬わなかったからである。32:52それであなたはわたしがイスラエルの人々に与える地を、目の前に見るであろう。しかし、その地に、はいることはできない」。

第33章

33:1神の人モーセは死ぬ前にイスラエルの人々を祝福した。祝福の言葉は次のとおりである。
33:2「主はシナイからこられ、
セイルからわれわれにむかってのぼられ、
パランの山から光を放たれ、
ちよろずの聖者の中からこられた。
その右の手には燃える火があった。
33:3まことに主はその民を愛される。
すべて主に聖別されたものは、み手のうちにある。
彼らはあなたの足もとに座して、
教をうける。
33:4モーセはわれわれに律法を授けて、
ヤコブの会衆の所有とさせた。
33:5民のかしらたちが集まり、
イスラエルの部族がみな集まった時、
主はエシュルンのうちに王となられた」。
33:6「ルベンは生きる、死にはしない。
しかし、その人数は少なくなるであろう」。
33:7ユダについては、こう言った、
「主よ、ユダの声を聞いて、
彼をその民に導きかえしてください。
み手をもって、彼のために戦ってください。
彼を助けて、敵に当らせてください」。
33:8レビについては言った、
「あなたのトンミムをレビに与えてください。
ウリムをあなたに仕える人に与えてください。
かつてあなたはマッサで彼を試み、
メリバの水のほとりで彼と争われた。
33:9彼はその父、その母について言った、
『わたしは彼らを顧みない』。
彼は自分の兄弟をも認めず、
自分の子供をも顧みなかった。
彼らはあなたの言葉にしたがい、
あなたの契約を守ったからである。
33:10彼らはあなたのおきてをヤコブに教え、
あなたの律法をイスラエルに教え、
薫香をあなたの前に供え、
燔祭を祭壇の上にささげる。
33:11主よ、彼の力を祝福し、
彼の手のわざを喜び受けてください。
彼に逆らう者と、
彼を憎む者との腰を打ち砕いて、
立ち上がることのできないようにしてください」。
33:12ベニヤミンについては言った、
「主に愛される者、
彼は安らかに主のそばにおり、
主は終日、彼を守り、
その肩の間にすまいを営まれるであろう」。
33:13ヨセフについては言った、
「どうぞ主が彼の地を祝福されるように。
上なる天の賜物と露、
下に横たわる淵の賜物、
33:14日によって産する尊い賜物、
月によって生ずる尊い賜物、
33:15いにしえの山々の産する賜物、
とこしえの丘の尊い賜物、
33:16地とそれに満ちる尊い賜物、
しばの中におられた者の恵みが、
ヨセフの頭に臨み、
その兄弟たちの君たる者の頭の頂にくだるように。
33:17彼の牛のういごは威厳があり、
その角は野牛の角のよう、
これをもって国々の民をことごとく突き倒し、
地のはてにまで及ぶ。
このような者はエフライムに幾万とあり、
またこのような者はマナセに幾千とある」。
33:18ゼブルンについては言った、
「ゼブルンよ、あなたは外に出て楽しみを得よ。
イッサカルよ、あなたは天幕にいて楽しみを得よ。
33:19彼らは国々の民を山に招き、
その所で正しい犠牲をささげるであろう。
彼らは海の富を吸い、
砂に隠れた宝を取るからである」。
33:20ガドについては言った、
「ガドを大きくする者は、ほむべきかな。
ガドは、ししのように伏し、
腕や頭の頂をかき裂くであろう。
33:21彼は初穂の地を自分のために選んだ。
そこには将軍の分も取り置かれていた。
彼は民のかしらたちと共にきて、
イスラエルと共に主の正義と審判とを行った」。
33:22ダンについては言った、
「ダンはししの子であって、
バシャンからおどりでる」。
33:23ナフタリについては言った、
「ナフタリよ、あなたは恵みに満たされ、
主の祝福に満ちて、
湖とその南の地を所有する」。
33:24アセルについては言った、
「アセルは他の子らにまさって祝福される。
彼はその兄弟たちに愛せられ、
その足を油にひたすことができるように。
33:25あなたの貫の木は鉄と青銅、
あなたの力はあなたの年と共に続くであろう」。
33:26「エシュルンよ、神に並ぶ者はほかにない。
あなたを助けるために天に乗り、
威光をもって空を通られる。
33:27とこしえにいます神はあなたのすみかであり、
下には永遠の腕がある。
敵をあなたの前から追い払って、
『滅ぼせ』と言われた。
33:28イスラエルは安らかに住み、
ヤコブの泉は穀物とぶどう酒の地に、
ひとりいるであろう。
また天は露をくだすであろう。
33:29イスラエルよ、あなたはしあわせである。
だれがあなたのように、
主に救われた民があるであろうか。
主はあなたを助ける盾、
あなたの威光のつるぎ、
あなたの敵はあなたにへつらい服し、
あなたは彼らの高き所を踏み進むであろう」。

第34章

34:1モーセはモアブの平野からネボ山に登り、エリコの向かいのピスガの頂へ行った。そこで主は彼にギレアデの全地をダンまで示し、34:2ナフタリの全部、エフライムとマナセの地およびユダの全地を西の海まで示し、34:3ネゲブと低地、すなわち、しゅろの町エリコの谷をゾアルまで示された。34:4そして主は彼に言われた、「わたしがアブラハム、イサク、ヤコブに、これをあなたの子孫に与えると言って誓った地はこれである。わたしはこれをあなたの目に見せるが、あなたはそこへ渡って行くことはできない」。34:5こうして主のしもべモーセは主の言葉のとおりにモアブの地で死んだ。34:6主は彼をベテペオルに対するモアブの地の谷に葬られたが、今日までその墓を知る人はない。34:7モーセは死んだ時、百二十歳であったが、目はかすまず、気力は衰えていなかった。34:8イスラエルの人々はモアブの平野で三十日の間モーセのために泣いた。そしてモーセのために泣き悲しむ日はついに終った。
34:9ヌンの子ヨシュアは知恵の霊に満ちた人であった。モーセが彼の上に手を置いたからである。イスラエルの人々は彼に聞き従い、主がモーセに命じられたとおりにおこなった。34:10イスラエルには、こののちモーセのような預言者は起らなかった。モーセは主が顔を合わせて知られた者であった。34:11主はエジプトの地で彼をパロとそのすべての家来およびその全地につかわして、もろもろのしるしと不思議を行わせられた。34:12モーセはイスラエルのすべての人の前で大いなる力をあらわし、大いなる恐るべき事をおこなった。


マルコ

第15章

15:26イエスの罪状書きには「ユダヤ人の王」と、しるしてあった。15:27また、イエスと共にふたりの強盗を、ひとりを右に、ひとりを左に、十字架につけた。〔15:28こうして「彼は罪人たちのひとりに数えられた」と書いてある言葉が成就したのである。〕15:29そこを通りかかった者たちは、頭を振りながら、イエスをののしって言った、「ああ、神殿を打ちこわして三日のうちに建てる者よ、15:30十字架からおりてきて自分を救え」。15:31祭司長たちも同じように、律法学者たちと一緒になって、かわるがわる嘲弄して言った、「他人を救ったが、自分自身を救うことができない。15:32イスラエルの王キリスト、いま十字架からおりてみるがよい。それを見たら信じよう」。また、一緒に十字架につけられた者たちも、イエスをののしった。
15:33昼の十二時になると、全地は暗くなって、三時に及んだ。15:34そして三時に、イエスは大声で、「エロイ、エロイ、ラマ、サバクタニ」と叫ばれた。それは「わが神、わが神、どうしてわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。15:35すると、そばに立っていたある人々が、これを聞いて言った、「そら、エリヤを呼んでいる」。15:36ひとりの人が走って行き、海綿に酢いぶどう酒を含ませて葦の棒につけ、イエスに飲ませようとして言った、「待て、エリヤが彼をおろしに来るかどうか、見ていよう」。15:37イエスは声高く叫んで、ついに息をひきとられた。15:38そのとき、神殿の幕が上から下まで真二つに裂けた。15:39イエスにむかって立っていた百卒長は、このようにして息をひきとられたのを見て言った、「まことに、この人は神の子であった」。15:40また、遠くの方から見ている女たちもいた。その中には、マグダラのマリヤ、小ヤコブとヨセとの母マリヤ、またサロメがいた。15:41彼らはイエスがガリラヤにおられたとき、そのあとに従って仕えた女たちであった。なおそのほか、イエスと共にエルサレムに上ってきた多くの女たちもいた。
15:42さて、すでに夕がたになったが、その日は準備の日、すなわち安息日の前日であったので、15:43アリマタヤのヨセフが大胆にもピラトの所へ行き、イエスのからだの引取りかたを願った。彼は地位の高い議員であって、彼自身、神の国を待ち望んでいる人であった。15:44ピラトは、イエスがもはや死んでしまったのかと不審に思い、百卒長を呼んで、もう死んだのかと尋ねた。15:45そして、百卒長から確かめた上、死体をヨセフに渡した。15:46そこで、ヨセフは亜麻布を買い求め、イエスをとりおろして、その亜麻布に包み、岩を掘って造った墓に納め、墓の入口に石をころがしておいた。15:47マグダラのマリヤとヨセの母マリヤとは、イエスが納められた場所を見とどけた。


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